Aさんの1990年頃の深川の思い出は決していいものではなかったようです。
ですが、こと中国株のことになると、話は違っていました。
「たしかに人間はがさつでしたが、現在は様子が少しずつ違ってきているようです」日本の企業、なかでも印刷関係の会社が深洲に入ってきているということでした。
Aさんも私同様、中国という国は、今後発展していくとにらんでいるようでした。
この出会いがよかったのか、その後、Aさんからは中国株に関する資料をどんどんもらえるようになりました。
資料というのは、企業の業務内容や業績などのデータで、その頃は一企業につき半ページか一ページという程度のものでした。
資料が集まれば集まるほど、中国という国が日本で考えられているほど危ない国ではない、という確信が生まれました。
また、中国株式市場は戦後日本の株式市場に似て、生まれたての赤ん坊と同じだということもよくわかりました。
そして、先進国の市場とは違い、まだまだこれからひと波乱もふた波乱もありそうだということも理解できました。
でも、だからこそおもしろくなりそうだ、と思いました。
リスクも大きいだろうけど、そのぶんリターンも大きいに違いない……。
世界の経済の流れは中国をなくしては語れない時代がくる!日本で起こった経済発展が中国でも必ず起こる!私はその前兆をつかんだと思いました。
しかし、その人間からも、中国株を馬鹿にする人たちの冷ややかな視線その頃の中国や中国株の評判は、決してかんばしいものではありませんでした。
まわり「中国株なんて大丈夫なの?大損するに決まっているから、今のうちにやめておきなさい」などと本気で説得されるありさまでした。
ほとんどの評論家は中国経済に対して否定的で、崩壊論、滅亡論も飛び交っていました。
市場経済原理をとり入れれば、ロシアのように崩壊するというのが主な論調でした。
しかし、私にとってはそれも貴重な意見でした。
批判するからにはそれなりの理由や理屈があるはずです。
その声が、中国経済の欠点について教えてくれるわけですから、真剣に中国株に取り組もうとしている身にとっては、とても参考になります。
聞くだけ聞いて、そのあとで自分の考えを確認し、中国の動向を見極め、中国株を買うべきか買わざるべきか判断すればいいのです。
それで迷うようなら、中国投資から手を引けばいいlですが.それでも私は迷いませんでした.私が知る限り、この頃の中国や中国株を肯定的にとらえていたのは、T氏くらいでした。
氏は、「中国経済は今、うなりをあげて発展しており、今後10年で大きく変わる。
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